【スポーツレベル】ランニング・トレーニング強度とタイプまとめ

スポーツとしてランニングを行っている場合、トレー二ングを行う目的を理解しておくことは大変重要です。

トレー二ングを行う目的を理解していないと、思ったような結果が残せなかったり、ケガをする可能性もあります。

この記事ではランナーのトレーニングの強度とタイプについて解説していきます。

VO2max(最大酸素摂取量)

VO2max(最大酸素摂取量)とは身体に取り込むことが出来る酸素量を言います。ヒトの細胞にはミトコンドリアがあり、ミトコンドリアは酸素を使用しエネルギーを生成します。運動するとエネルギーを消費しますが、酸素が全身のミトコンドリアに行きわたることで、エネルギーを消費しながらエネルギーを生成します。

全身の細胞に酸素がより行きわたることで、エネルギーをより多く生成することが可能になり、運動の強度・ランニングスピードを上げることが出来るようになります。

VO2maxを構成する要因として、【肺に酸素を取り込む能力】・【心臓が全身に血液】・【酸素を送り込む能力】・【筋肉内の毛細血管の経路の量】・【血液内の赤血球の量と質】などがあります。

心拍数

VO2maxは専用の機器で測定出来ますが、一般家庭ではVO2maxを測定できる機器はありません。そのため、トレーニング強度を管理する指標として、【心拍数】は非常に有効です。多くのランナーは心拍数をモニタリングしており、心拍数でトレーニング強度を調整しています。

心拍数によってトレーニング強度を調整するためには、コンディションによって心拍数がどのように変動するのかを知っておく必要があります。

【最大心拍数】

トレーニングは最大心拍数に対する%で考えるのが一般的です。最大心拍数は【220ー年齢】という計算式で推定することが出来ます。しかし、あくまで推定なので個人のケースでは誤解を招く恐れがあり、推定とは大きくかけ離れている可能性もあります。

ランナーが最大心拍数を測定する場合、2分間のハードな坂道走を何度か繰り返すことで測定出来ると言われています。ハードな坂道走を2回目より3回目の方が心拍数が高い場合、4回目を行い測定、測定したところで数値が変わらなくなるところまで繰り返し、最大の数値を最大心拍数としてみなします。

【安静時心拍数】

安静時心拍数は朝目覚めた直後の心拍数を安静時心拍数としてみなすことが出来ます。心臓が強くなり、1回の心臓の収縮で送り出す血液量が多くなると少ない心拍数で全身に血液を送ることが出来ます。体力向上(心臓の強化)は、安静時の心拍数を指標とすることができ、トレーニングを続けているのに安静時心拍数が上昇している場合は、オーバートレーニングの可能性があります。

※心拍数の測定方法:心拍数≒脈拍数であり脈拍を測定することが多いです。脈拍数は人差し指・中指・薬指の3本で反対側の手首の外側を抑えます。拍動を感じたら1分間で感じる拍動の回数を数えます。

イージーランニングの強度はVO2maxの59~74%、最大心拍数の65~79%であるとされています。

イージーランニングは練習の大部分を楽なものにすることによって、ケガに対する耐性をつくりケガの予防に繋がるとされています。また、心臓の収縮する力は最大心拍数の60%程度で最大に達するため、きついペースで短い時間よりも楽なペースで走る時間を伸ばすことで心臓の強化が出来ます。

さらに、筋肉などに毛細血管を新しく生成し、血液が筋肉に行きわたりやすくなります。筋肉に多くの血液が行きわたることで、多くの酸素をエネルギーに転換出来るようになり運動に対する耐性が強くなります。

イージーペースは数週間・数カ月の休養からランニングに復帰した時、目標走行距離に到達するために必要な距離を稼ぐ、レースに備えて練習を抑えたい時などで行うことが多いと言われています。

マラソンペースはVO2maxの75~84%、最大心拍数の80~89%であるとされています。

マラソンペースの目的は実際のレースに慣れること、マラソンペースで水分をとる練習をすることであると言われています。

期待出来る身体の変化・強化はイージーランニングと大きく変わりませんが、マラソンペースの主な効果はメンタル的なもの、自身を高めるものと言えます。

走るためのエネルギーをグリコーゲンの利用が多いと、蓄えられたグリコーゲンを温存し、脂肪燃焼に頼る割合を少し増やすように身体に教えることが出来ます。

閾値ランニングはVO2maxの80~86%(熟練のランナーなら88~92%)と言われています。

閾値(いきち)ランニングは比較的速く走っていますが、ある程度の時間(20~60分程度)は維持出来るというペースです。

走るペースを上げて身体のストレスを上げていくと、筋肉内のグリコーゲンを消費してエネルギーを生成するようになります、グリコーゲンを消費してエネルギーを生成する際に身体には乳酸が生まれます。乳酸が溜まると筋肉は疲労し徐々に動かなくなっていきます。

しかし、閾値ランニングは身体内に乳酸が生じるものの、ギリギリ処理出来る強度で走るため、ある程度の運動を維持出来るというわけです。

イージーランニング・マラソンランニングは比較的楽にペースを維持できますが、閾値ランニングはある程度の熟練のランナーでも終わるのが待ち遠しいペースです。

閾値ランニングの目的は、血中の乳酸を除去し、十分に処理できる濃度よりも低く抑える能力を高めるためと言われています。(持久力の向上と考えて良い)

閾値ランニングのペースの目安は、30~60分ペースを維持出来るのかどうかということです。もし、ペースを維持できないのであれば速すぎるのでペースを落とす必要があります。

しかし、経験を積んだランナーでも、正確に閾値ランニングのペースで最初から最後まで走ることは難しいようです。そのため、一部の指導者・ランナーが閾値ランニングと呼んでいる練習とは徐々にペースを上げて、後半に閾値ランニングペースに達するという練習を行っており、本当の閾値ランニングペースは一部のようです。

インターバルトレーニングとは、激しい運動と休憩を断続的に繰り返すトレーニングです。ランニングでは3~5分程度維持出来るペースが目安と言われています。

インターバルトレーニングの目的は、VO2max(最大酸素摂取量)を最大限に高めることと言われいます。

完全に休憩した状態からVO2maxに到達するまでには90~120秒かかると言われており、インターバルトレーニングの開始は3~5分かけるのが適正であるとされています。2回目・3回目と回数を重ねていくにつれて、VO2maxに到達するまでの時間も短くなっていくため、休憩時間を短く保つ場合は3~5分よりも短くしても問題ないとされています。

レぺテンショントレーニングの目的は無酸素性能力・スピード・ランニングエコノミーを高めることと言われています。

※ランニングエコノミー:ランニングの効率性を示す指標で、より少ないエネルギーで走れる状態を指します。

レぺテンショントレーニングの例として、400mを全力+休憩3分×10セットがあります。

レぺテンショントレーニングは強度が高い為、十分に身体を回復させてから正しいフォームで走ることが重要であるとされています。

レぺテンショントレーニングはトレーニング強度を上げていく過程で休憩時間を短くすることはあまり勧められていません。休憩時間が短くなると回復が不十分になり、フォームが崩れてしまう可能性があります。

スポーツレベルとしてのランニング・トレーニングは、走った距離ではなく、トレーニングの強度とそれに伴う時間で考えた方が良いとされています。熟練のランナーのランニング距離を参考にしても、設定した距離を走り切るには熟練ランナーよりも時間がかかってしまいます。

今行っているトレーニングの目的と強度を理解し、時間を設定することが大切です。闇雲にやってしまっては十分な効果が得られない可能性があるだけでなく、ケガ・熱意の消失によりトレーニングを中断する可能性も出てしまいます。

熟練の長距離ランナーは1週間など定期的な期間内のトレーニング内容と時間・距離を記録しています。

記録をつけて徐々に負荷を強くしていき、ランナーとして充実なトレーニングに励んで下さい。

ダニエルのランニング・フォーミュラ第4版 著者:ジャック・ダニエルズ