四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)の症状・治療・運動・生活の工夫を解説!

ある日突然、腕が上がらなくなったり、肩を動かすと痛みが出るのは四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)かもしれません。

突然の痛みにどうしたらいいのか分からないですし、医療機関を受診しても詳しく説明してもらえる時間はなかなかとってもらえません。

この記事では四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)に関する内容をお伝えしていきますので、参考にして下さい。

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)    

40代・50代になると肩の老化に伴い、「肩が痛い」「肩が動かしにくい」といった症状が出現することがあります。40代・50代になると発症しやすいので、肩関節周囲炎を一般的に四十肩・五十肩と呼ばれることもあります。

初期症状は明確なきっかけなく、突然片側の肩に痛みが出現し、数日~数週間にわたって痛みが続くと言われています。痛みは次第に引いてきますが、数カ月~約1年にわたって痛みは残ります。痛みが軽快してくる段階で肩が動かしにくくなってきます。

肩の症状・経過に伴い治療方針・内容は異なり、痛みの強い時期は無理に肩を動かさず、薬などで鎮痛することが一般的であると言われています。痛みが引いてくると、安静のしていたことで関節の可動範囲が制限されてしまっているので肩を少しずつ動かすリハビリテーションが必要になってきます。

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎):症状・経過

四十肩・五十肩の症状は炎症期・拘縮期・寛解期に分かれます。症状・期間は個人差が大きいため、具体的な症状・期間は参考程度になります。炎症期・拘縮期・寛解期のそれぞれにおいて治療方針・内容針は異なります。

症状と治療方針
炎症期

【症状】

痛みが強く、安静時痛夜間痛も伴う時期であり、関節の可動範囲は概ね保たれているものの、炎症が生じているため炎症を抑えて安静にする治療が中心になります。肩に炎症(熱感・腫れ・痛み・赤み)などが生じ、約2週間~3カ月間続くと言われていることが多いようです。(参考程度)

肩が痛く安静にしているため、肩を構成する組織が徐々に硬くなり柔軟性が損われてきます。

【治療方針】

薬物療法:炎症を抑えるためのステロイド注射、鎮痛剤の服用、鎮痛効果のある貼り薬

理学療法:三角巾を使用し肩を安静に保つ、肩に負担をかけない姿勢を指導(仰向けで寝る時は肩・肘の高さが同じになるように腕の下にクッションや枕を敷くなど)

物理療法:アイスパックによる寒冷療法(冷やす)

拘縮期

【症状】

炎症が軽減することで痛みは軽快していきますが、安静にしていたことにより肩の動きが制限されている時期です。肩の動きが制限されているため、結髪(髪を結ぶ)・洗体(身体を洗う)・洗顔などの日常生活において制限が生じます。また、腕を上げることが難しいことがあるため、高いところの物を取ったりすることが難しくなる可能性があります。

【治療方針】

薬物療法:必要に応じて継続

理学療法:専門家による徒手療法(肩を動かす)・ストレッチ、無理のない範囲で運動、生活動作練習

物理商法:温熱療法、超音波療法、電気刺激

寛解期

【症状】

ストレッチやリハビリなどにより肩の動きの制限が改善されていく時期です。痛みはほとんどなく日常生活の制限も改善されていきます。

【治療方針】

理学療法:日常生活の動作練習がメイン

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎):運動

1.振り子運動

痛い方の肩をぶら下げます。肩から先は力を抜いて、身体の方を回すことで自然と腕が揺れる(振り子)ように腕を動かします。痛みなく運動に慣れてきたら、身体を固定し腕を前後左右に揺らします。

目安回数:10~20回×2~3セット(効果が出るまでの明確な時間や回数は個人差があります。無理のない範囲で出来る限り行うことを推奨します)

頻度:毎日

2.テーブル運動

タオルに手を預けた状態で、身体を前に倒して手を前に滑らせます。

目安回数:10~20回×2~3セット(効果が出るまでの明確な時間や回数は個人差があります。無理のない範囲で出来る限り行うことを推奨します)

頻度:毎日

3.肩甲骨の運動

肩甲骨を上下・左右に動かします。腕の力は抜いてリラックスした状態で行います。肩甲骨の外・内運動は手を太ももの上に乗せて、太ももの上を滑らせて行います。

頻度:毎日

4.肩の運動(サポートあり)

肩が痛くない方の手で、痛い方の手を持ち、上・左右・奥など一緒に動かしていきます。痛みが強くなるようであれば、無理に運動は行わないことを推奨します。

頻度:毎日

5.肩甲骨の運動(手をつけて)

床や壁に手をついた状態で腰を反らしたり、曲げたりすることで自然と肩甲骨が内側に寄せたり、外側に出したりする運動になります。

頻度:毎日

7.自力で肩の運動

4.肩の運動(サポートあり)の次の段階として、無理のない範囲で自力で腕を上下・左右・奥行きを動かしてみて下さい。

頻度:毎日

先行研究では週6~7回と高頻度で行っているものが多い印象です。

痛みの無い範囲で運動を行うようにして下さい。

痛みが強くなる・効果が出てこない時は医療機関を受診し医師・理学療法士などに相談してください。

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎):生活の注意点

1.手を使って作業(パソコンなど)をする時は身体の正面の来るように気を付けます。(横向きなどでしない)

2.机で作業する時は目線の高さに合わせるように調整します。

3.物を取る時は手を伸ばす距離を短くするために出来るだけ近づいてからとるようにします

4.服を着る時は、肩が痛い方から袖を通すようにします。

5.肩が痛い方で荷物を持たないようにします。リュックも避けて下さい。

6.車を運転する時はシートは前にして脇をひらき過ぎないように調整します。また、長時間の運転は避けることを推奨します。

7.座っている時は腕がリラックス出来るようにひじ掛けなどを利用したり、タオル・クッションなどで高さを調整します。

8.拘縮期(痛みが大きく軽快してから)では、お風呂に浸かるなどして温めて下さい。

参考文献・引用

理学療法ハンドブックシリーズ13 肩関節周囲炎

村木孝行.(2016) ’肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドライン’ 理学療法学 第43巻第1号 67~72貢

村田健児.(2013) ’肩関節拘縮の理学療法効果:システマティック・レビューによる検討’ 理学療法―臨床・研究・教育 20:51-56

Derya CELIK ;Donuk omuzda farkh iki egzersiz progtaminin sonuclarinin karsilasturilmasi:2010 44:285-292.

Umit Dundar et al;Continuous passive motion provides good pain control in patients with adhesive capsulitis; 2009 32: 193-198.