理学療法士の私が糖質制限ダイエットを勧めない理由とお勧めの運動

「肥満体型をどうにかしたい」

「昔みたいな健康的な身体を取り戻したい」

「やせて健康的になりたい」

など痩せたい・ダイエットしたいと思う理由は様々です。ダイエットの方法を色々調べると様々な方法がありますが、糖質制限ダイエットは理学療法士の私としてはあまりお勧めしたくありません。しかし、普段から過剰に摂取している人が適切な量にまで制限をすることは良いと思われますが、やせたい・ダイエットしたいからといって必要な量を摂取しないことはお勧めしません

格闘技のような階級制のあるスポーツで体重を落としたい場合は例外ですが、健康的な身体を取り戻したい健康になりたいという理由でダイエットをするのであれば理学療法士として、必要な適量な糖質を摂取し、運動を継続して欲しいと思います。

糖質摂取は適量

過剰な糖質制限は身体に良くありません。最初は著しく体重が落ちるかもしれませんが、後々体重は落ちなくなります。適切な量を摂取し、運動を継続しましょう!

糖質は身体に必要な栄養素

糖質は炭水化物から食物繊維を除いたものであり、ごはん・小麦粉類・イモ類などに多く含まれ、身体を動かすための必要なエネルギー源となります。糖質が体内で生成するカロリーは1gあたり4kcalと言われています。

糖質の過剰摂取で太る仕組み

糖質は膵臓のインスリンによって、グリコーゲンとなり肝臓や筋肉に水分と共に蓄え、活動のエネルギー源として蓄えられます。そして残った血液中の糖は脂肪に置き換わります。ご飯・小麦粉類・イモ類を一度に過剰に摂取すると、肝臓・筋肉にグリコーゲンとして貯蔵できる許容量を超えてしまい、余った血糖が脂肪になってしまいますので、健康的な身体を作りたいのであれば適切な摂取量を守り、運動をすることで消耗することが大切です。

糖質の一日摂取量の目安

炭水化物の1日摂取量の目安はカロリーに対する割合で設定されています。炭水化物の摂取量は1日カロリーの50~65%の範囲になります。

【例】
1日に必要な摂取カロリーが1600kcalである場合、800~1040kcalを炭水化物から摂取する必要があります。1gにつき4kcalのエネルギーとなるため、800~1040を4で割って200~260gの炭水化物を1日の摂取量の目安にするとよいということになります。

【目安】

ごはん(150g:茶碗1杯) :55.7g(炭水化物)

うどん(150g:1玉)   :85.2g

食パン(60g:6枚切り1枚):27.8g

中華麺(120g:1玉)   :66.8g

スパゲティ(100g:一人分):73.1g

糖質制限ダイエット

糖質制限ダイエットとは、元々1,970年代にアメリカの医師が自らの著書の中で「肥満の原因は炭水化物である」と説き、非日常の食事から炭水化物を極力排除することで糖尿病患者向けに肥満を解消するというダイエット方法です。

日本では日本糖尿病学会が2013年に公表した「糖尿病における現状と課題」の中で、糖尿病患者では糖質だけでなく、脂質やカロリーの摂取量も検討することが推奨されています。

過剰に糖質を摂取していた人が適正な量に抑えることは良いですが、身体にとって必要な量を大きく下回ってしまう健康を損なってしまう可能性があります。実際に、個人の判断で糖質制限をすると必要以上に糖質を制限してしまう方もいるようです。

体重減少の初期は水分が多い

糖質制限をすると、筋肉・肝臓にあるグリコーゲンが水分と共に消耗していきます。糖質制限による体重減少初期のほとんどが、身体から水分が抜けたことによるものです。そのため、糖質制限によるダイエットで体重が減ったとしても、後々限界が来て体重が落ちなくなります。意識的に運動をしないで糖質制限ダイエットでは後々体重が落ちにくいのでモチベーションも下がってしまい、過食やダイエットを止めることにつながる可能性があります。

糖質の過剰制限によるデメリット

脳のエネルギー不足

脳の活動にはブドウ糖が必要不可欠です。糖質制限により血糖値が下がりすぎると集中力や思考力の低下・疲労感などが生じます。日常生活や仕事に支障をきたす可能性があるため、ある程度の糖質は必要です。

便秘の可能性

日本人の主食であるご飯は炭水化物ですが、食物繊維も豊富に含まれています。ご飯などの炭水化物を制限することで食物繊維も不足し便秘につながる可能性があるので、納豆やキノコ類などを食べることで食物繊維の不足を防ぐことが必要です。

筋肉量の減少・代謝の低下

糖質を制限すると身体を動かすエネルギーとして、タンパク質を消耗します。爪・髪の毛・皮膚・筋肉などの身体の構成に欠かせないタンパク質を身体を動かすためのエネルギーとして活用してしまうので、全体的な筋肉量の減少が生じる可能性があります。また、筋肉量が減少することで基礎代謝が落ち、効率が悪くなってしまいます。体重が落ちたとしても筋肉量が落ちてしまうと見た目・身体のラインは自分の理想とは異なるかもしれません。

筋肉量が減少すると糖質をグリコーゲンとして筋肉に蓄える容量が減少し、脂肪に置き換わりやすくなってしまいます。そのため、食事量を基に戻してしまうとリバウンドしやすくなってしまいます。

低血糖症状

血糖値が低くなると身体に交感神経症状が出てきます。さらに低血糖状態が続くと中枢神経症状が出てくるようになり、身体が危ない状態に陥ってしまいます。

交感神経症状:動悸・冷や汗・ふるえ・悪心など

中枢症状:強い眠気・意識混濁・けいれん・異常行動など

糖質制限を継続出来る?

糖質を控え続けてやせることに成功することが出来ても、その習慣を継続しなければ体型は元に戻ってしまいます。糖質を抑えることで脂肪も減っていますが、筋肉量も減少していますので食事を元に戻すと摂取した糖質は脂肪に置き換わりやすくなります。

【体型は習慣の表れ】というように、自身の体型は日々の習慣の結果の表れです。糖質制限でやせることが出来たとしても継続しなければ意味はありません。糖質制限を行う場合、その習慣を維持出来るのかを考えてみて下さい。もし、好きなものを無理に我慢をしているのであれば、継続することは難しいかもしれません。

お勧めの運動

健康的な身体を取り戻したい・健康的にやせたいのであれば、やはり適切な運動は欠かせません。ダイエットをしたい人にお勧めの運動を紹介します。

全身の筋肉の内約70%は足にあると言われています。足を使う筋トレ・運動は、動かす筋肉が大きいので消費カロリーが大きくなります。全身の筋トレなどが望ましいですが、効率よく痩せたい方は足を使った筋トレや運動が望ましいです。

スクワットは下半身の筋肉をほぼ総動員して行う筋トレです。下半身のほとんどの筋肉を使うので、他の筋トレと比較しカロリーも消費しやすく、筋肉量が増加すれば基礎代謝も増えるのでリバウンドしにくくなります。

【スクワット】
足幅を肩幅に開いて立ち、つま先をやや外側に向け、お尻を突き出すようにしゃがみこみます。この際に、膝が足先よりも前にでないように気を付けます。太ももが床と平行になる程度までしゃがみ込むことが良いですが、初心者や高齢者の場合、浅くしゃがむことから始め徐々に深くしていきます。
後ろにバランスを崩しそうになる場合、固定された家具や手すりを持ちながら行ったり、両手を伸ばして前に出すことでバランスをとることが出来ます。
目安回数:10~12回を3~5セット
注意点:腰を反らしてしまうと腰痛に繋がる可能性があります。お腹を引っ込めるように少し力を入れながらしゃがみこむことで、姿勢よくしゃがみこむことが出来ます。それでも腰が痛くなる場合は避けておきましょう。

ここでのウォーキングは「少し大股で早歩き」とします。ウォーキングは多くの方にとって、効率よく脂肪燃焼することが出来る運動です。有酸素運動は脂肪燃焼を促進することが出来る強度があり、ゾーン2と言われています。心拍数を目安にすると最大心拍数の50~60%が望ましいと言われています。

1回30~60分程度の時間で行ってみてはいかがでしょうか?体格などの個人差がありますが、1時間ウォーキングすると約500kcalのカロリー消費になります。

●自身の最大心拍数を知ろう

最大心拍数は【220ー年齢】という計算で表すことが出来ます。

最大心拍数:220ー年齢
【例】
40歳の場合、220ー40=180 180×50~60%=90~108回/分
脈拍数が90~108回/分の強度で有酸素運動を行うと効率よく脂肪燃焼することが出来ます。

●カルボーネン法

また、適切な強度の範囲はカルボーネン法と言われている計算式からも求めることが出来ます。カルボーネン法の方が、自身の持久力・心肺機能も考慮した上で計算できますので最大心拍数よりも適切な強度を求めることが出来ると思います。

カルボーネン法は、(220ー年齢ー安静時脈拍数)×運動強度+安静時脈拍数という計算で表すことが出来ます。

カルボーネン法
【例】
40歳で安静時脈拍数が70回/分である場合、【220ー40(年齢)ー70(安静時脈拍数)】×50~60%(運動強度)+70(安静時脈拍数)=125~133回/分
脈拍数が125~133回/分で有酸素運動を行うと効率よく脂肪燃焼することが出来るということが分かります。

カルボーネン法は自身の持久力・心肺機能も考慮することが出来るため、より一人一人にあった脈拍数が設定できるということです。持久力に優れている人は安静時脈拍数が低くなるため、脂肪燃焼に必要な強度の脈拍数は低くなります。

例:【220ー40ー50】×50~60%+50=115~128回/分 安静時脈拍数が50回/分の人の場合

●心拍数≒脈拍数

心臓が収縮することによって上図の大動脈の部分に血液が当たる圧力が血管を通じて全身の血管に波動として伝わっています。その血管に伝わる波動を手首で脈拍数として測定しています。

脈拍数で心拍数を診ることが多いですが、心臓系の疾患などで不整脈が生じていたり、血管に影響のある疾患では波動が手首まで十分に伝わらずに、機械や自身で測定しても脈拍数としてカウントされないことがあります。

多くの方は心拍数と脈拍数は一致することが多いので、問題ないですが循環器系の既往歴を持っている人は、一致しないことがあるので注意が必要です。

●脈拍数の測定方法

手の平側の手首外側を反対の手の人差し指・中指・薬指を抑えることで測定出来ます。

10~20㎝程度の台を昇ったり降りたりする運動です。有酸素と下半身の筋トレの両方の効果が期待出来るためお勧めです。

TVやスマフォをみながら行うと、足を踏み外す可能性がありますので注意して下さい。

個人的にサイクリングがお勧めです。健康的に痩せるための運動は、中々モチベーションが続かないものです。天気の良い日に様々な場所にサイクリングに行って、自然を観に行ったり気になったお店に行ったりすることは、他の目的があるので継続しやすいです。

スポーツ自転車も安いもので十分ですので、ダイエットにサイクリングはいかがでしょうか?