【理学療法士+アスリートによる】ダイエット中の食事を考えるポイント

この記事に興味を持って頂きありがとうございます。理学療法士・アスリートとして得た「皆様の健康に役立つ情報」を日々発信しています。

ダイエットを始めるきっかけは人それぞれですが、ダイエットを成功させる上で食事は運動以上に重要な要素です。

SNSなどでは様々なダイエット方法が発信されていますが、理学療法士・アスリートとして身体にとって危ないなと感じる方法もあります。

結局のところ、健康的・リバウンドせずに痩せるためには、運動の継続に加えて日々の食事管理が欠かせません。

しかし、「何を食べたらいいのか分からない」「手間がかかるから続かない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事ではダイエット中の食事を考えるポイントについて解説していきますので、ダイエット生活の参考にしてみて下さい。

体重を落とすには摂取カロリーが消費カロリーを下回る必要があります。つまり、日々のアンダーカロリーを作らなければどれだけ運動を継続していても痩せることは出来ません。

消費カロリー人によってそれぞれですが、消費カロリーの目安は計算することが出来ます。

消費カロリーの計算方法

【1.基礎代謝量(BMR)を求める】

基礎代謝:「生き物が必要とする生命維持に必要なエネルギー」

<Mifflin-St Jeorの式>

・男性:BMR=10×体重(kg)+6.25×身長(cm)-5×年齢+5

・女性:BMR=10×体重(kg)+6.25×身長(cm)-5×年齢-161

【2.1日の消費カロリー(TDEE)を求めるために、基礎代謝に活動レベルをかける】

基礎代謝に活動係数をかけることで、1日の消費カロリーを求めることが出来ます。

<活動レベル>

低い(ほぼ座り仕事・運動なし):係数1.2

普通(軽い運動・立ち仕事):係数1.55

高い(ハードな運動・肉体労働):係数1.725

とても高い(アスリートレベル):係数1.9

【1日の消費カロリー(TDEE)】

1日の消費カロリー(TDEE)=基礎代謝×活動係数

【3.ダイエット用に調整】

・ゆるやかに減量:TDEEー300~500kcal/日

・きつめの減量:TDEEー500~700kcal/日

※急激に痩せようとすると筋肉量も落ちやすく、基礎代謝が下がりリバウンドしやすくなるため注意が必要です。

【例】

30歳女性、身長160cm、体重60㎏、デスクワーク中心で週2~3回の軽めの運動

【1.基礎代謝量】

=10×60+6.25×160ー5×30ー161

=600+1000ー150ー161=1289kcal

【2.活動係数】

=1289×1.55=約1997

【3.ダイエット用】

=1997kcalー500=約1500kcal

➡約1500kcal/日が目安

カロリーだけを意識するダイエットは、短期的な体重減少にはつながるかもしれgませんが、健康的ではありません。体の機能を正常に保ち、筋肉量を維持しながら脂肪を減らすためには、タンパク質・脂質・炭水化物バランス(PFCバランス)を考えて摂取することが不可欠です。

P(タンパク質):体重の1.2~1.5g➡筋肉量や代謝の維持、肌・髪などの美容に必要

F(脂質):総カロリーの20~30%➡ホルモンバランスや満足感に必要

C(炭水化物):残りのカロリー➡脳・筋肉を働かせるためのエネルギー源

例:30歳女性、身長160cm、体重60㎏、デスクワーク中心で週2~3回の軽めの運動

約1500kcalの内訳

タンパク質=60(体重)×1.4=84g/日

脂質=1500×0.25=375kcal=375/9=42g/日

炭水化物=1500ー84×4(タンパク質摂取によるカロリー)ー375kcal(脂質摂取によるカロリー)=789kcal=197g

タンパク質:84g

脂質:42g

炭水化物:197g

【意識するポイント】

低脂質+高タンパク質+適量の炭水化物

炭水化物・脂質は嗜好品に多く含まれているため、多くの方にとって意識せずとも摂取することが出来ます。しかし、タンパク質は意識しなければ一日に必要な摂取量を取ることは難しい場合が多いです。

タンパク質は、人の身体を構成する成分です。食事から摂取したタンパク質がアミノ酸に分解されて、身体に吸収されると筋肉や臓器、肌、髪、爪などの材料になる他、ホルモン・代謝酵素・免疫物質などに変化し様々な働きをしています。

身体のタンパク質は合成と分解が繰り返されているため、合成と分解のつり合いをとるには食事からタンパク質を摂取することが必要です。髪・爪が伸びるように、身体のタンパク質は新しく作られる一方で抜け落ちて失われているものもあります。また、筋肉や臓器といった目に見えないものも一部分解されて、体外へ排出されます。こういった失うものを補うためにタンパク質摂取を心がけることが大切です。

タンパク質の代表的なものとして、肉・魚・乳製品・大豆製品などが挙げられるため意識して摂取することがポイントです。

サラダだけのような食事制限はタンパク質量が足りず、筋肉量が減少しリバウンドしやすい身体になってしまいます。

朝食に取り入れたいメニュー例

ゆで卵

目玉焼き

無糖ヨーグルト

鶏むね肉のグリル

プロテインスムージー(プロテインパウダー、豆乳、バナナ、ほうれん草)

低脂肪牛乳

昼食に取り入れたいメニュー例

焼き魚

卵焼き

鶏肉の定食

蕎麦(+とろろ卵)

納豆

夕食に取り入れたいメニュー例

鍋料理(白身魚、鶏むね肉、豆腐)

蒸し鶏

冷ややっこ

刺身盛り合わせ

味噌汁

納豆

食欲を抑える

アンダーカロリーを作ることはダイエットをする上で欠かせませんが、アンダーカロリーを作ってしまうとお腹がすいてしまいます。食欲に負けて食べてしまうとオーバーカロリーを作ってしまいダイエットは中々進みません。

食欲に負けずに戦うこともいいですが、常に食欲と戦ってしまうとストレスが溜まり、いずれ限界が来ます。

そんな食欲をタンパク質の食事は食欲を抑える効果があると言われています。タンパク質を豊富に摂取するとコレシストキニンというホルモンが十二指腸や小腸から分泌されます。コレシストキニンは別名満腹ホルモンと呼ばれているため、食欲を抑える効果があると言われています。

また、グレリンという食欲ホルモンと呼ばれるホルモンの分泌を抑えてくれる効果もあるため、

食事誘発性熱産生の増加

ヒトがカロリーを消費するのは基礎代謝・運動だけでなく、食事により食べた物を消化・吸収・代謝する過程にもカロリーは消費されます。この食事による消費を食事誘発性熱産生と言います。

タンパク質は炭水化物・脂質と比較し、食事誘発性熱産生が高く、約20~30%が食べた分のカロリーの一部として燃えるのでエネルギー消費が増えます。

筋肉量の維持・増加

ダイエットでアンダーカロリーを作ると筋肉量も落ちやすいですが、高タンパク質の食事を意識することで筋肉量を守りやすく基礎代謝を落としにくくなります

筋肉を維持することは瘦せながら、リバウンドしにくい身体を維持することに繋がります。

血糖値の安定

タンパク質はインスリンの分泌を促すホルモンの分泌を促す効果があるため、結果的に血糖値の上昇を抑制する効果が期待出来ます。

食べる時間帯:夕食後や就寝前は避けることが望ましく、食後2~3時間後の午前10時や午後3時頃に済ませるのが理想です。
間食の量:間食でもカロリーを摂取するとオーバーカロリーの原因となってしまいます。少量でも満足できるように、ゆっくりとよく噛んで食べることを心がけて下さい。
目的:空腹を満たす・栄養補給など、目的を明確にして食べることが大切です。感情的な食欲で食べるのは避けることが望ましいです。

間食・嗜好品の例

ナッツ類(素焼き・無塩):ナッツ類は良質な脂質・食物繊維・ミネラルが豊富と言われています。しかし、脂質がメインなのでカロリーが高いため、手のひら一杯程度(約20g)にしておくのが望ましいです。
フルーツ:フルーツはビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富で自然な甘みがあります。しかし、果糖も含まれるため摂りすぎるとオーバーカロリーになりやすいため注意が必要です。
無糖ヨーグルト:タンパク質を取ることができ、乳酸菌が摂れるため腸内環境を整える効果があります。フルーツやシナモンを少量加えるとビタミン・ミネラルも摂取出来るようになります。
ゆで卵:卵は完全栄養食と言われるほど栄養価の高く、高タンパク質な食べ物です。ゆで卵にすることで腹持ちが良くなります。
するめ・干し芋:噛み応えがあり、少量で満腹感を得やすいです。するめは高タンパク低脂質、干し芋はビタミン・ミネラルがバランスよく含まれています。
プロテインバー・プロテイン飲料:手軽にタンパク質を補給でき、加えてビタミン・ミネラルも摂取出来ます。

出来れば避けたい間食・嗜好品の例

ケーキ・クッキー・チョコレート・アイスクリームなどの洋菓子は、砂糖とバターなどが多く含まれており、血糖値の急上昇と脂質の過剰摂取に繋がってしまいます。また、これらの食品は「エンプティカロリー」と呼ばれ、カロリーが高いことに加えてビタミンやミネラルなどの栄養素がほとんど含まれていません。

ダイエットは継続出来る生活習慣・食習慣でないと失敗してしまいます。「体型は生活習慣に出る」とよく言われますが、ダイエット中の食習慣を維持することが出来ず、いずれ食習慣が元に戻してしまうと体型も元に戻ってしまいます。

そのため、ダイエットを成功させるためにはダイエット中の食習慣が果たして継続出来るものなのかを自身に問いかける必要があります。

もし、今の食習慣が無理をして我慢し続けており、ストレスがたまるのであればプランを考え直さなければいけません。

ダイエットのために好きなものを完全に断ってしまっている場合は、週に1回食べても良いことにし、その分運動をするなど工夫してみてはいかがでしょうか?

ダイエットは一朝一夕で結果が出るものではありませんので、ご自身のライフスタイルに合わせて、無理なく続けられる食事改善を見つけることが大切です。