「ダイエットで筋トレしたいけど毎日した方が良いの?」
「スポーツのパフォーマンスを上げたいけど、筋トレはどれくらいしたらいいの?」
など筋トレをやる理由はそれぞれですが、知識が無いのでどのくらいの頻度でやればよいのか分からないと思います。
理学療法士が筋トレを効果的に行う為に最低限必要な知識をお伝えします。
筋トレの3原則
筋トレには【過負荷の原則】【可逆性(かぎゃくせい)の原則】【特異性の原則】3つの原則があります。それぞれの原則を解説していきます。
1.過負荷の原則
筋トレは筋肉に負荷をかけなければ効果を発揮しません。つまり、楽な筋トレでは効果が現れません。これを【過負荷の原則】と言います。
筋トレを開始していき、いつまでも同じ運動量・負荷では、身体が徐々に刺激に慣れていき効果が現れにくくなります。
筋トレで身体に変化を出すためには、1回当たりの負荷を増やしたり、1セット当たりの回数を増やしたりなど、負荷を徐々に高めていく必要があります。
1回当たりの負荷を増やすと筋肉量の増加が期待出来るため、基礎代謝の向上が見込めます。
1セット当たりの回数を増やすと筋肉の持久力が付いてきます。また、筋トレ中の心拍数が上昇しやすく、高重量・低回数よりもカロリー消費が期待しやすいです。
筋肉量を増やしたいのか、筋肉の持久力向上・カロリー消費を行いたいのかによって、負荷のかけ方は異なって来ますので、自分の目的に合わせて負荷を調整してみて下さい。
2.可逆性(かぎゃくせい)の原則
筋トレを行って、筋肉量を増やしたり、筋肉の持久力を付けても、筋トレを止めてしまうと徐々に元に戻ってしまいます。
これを【可逆性の原則】と言います。筋肉量や体力を維持・向上させるには、筋トレを継続する必要があります。
しかし、筋トレを止めても数日~1~3週間程度では、すぐに筋力は変わらないという報告もあるので、数日筋トレを行わなかったからといって焦る必要はありません。
自身が継続出来る筋トレ・運動を行いましょう。
3.特異性の原則
筋トレを行うと筋力が向上します。筋力は、筋トレ方法によって効果の発揮が異なります。
例えば、太ももの前にある大腿四頭筋はボールを蹴るなどの膝を伸ばしたり、ジャンプ・ペダルを漕ぐ時に強い力を発揮します。
大腿四頭筋のトレーニングを膝を伸ばして行うのか、スクワットなどの地面を蹴るようにして行うのかによって筋力の発揮が異なります。
膝を伸ばして筋トレを行うと、より強くボールを蹴るなどの膝を伸ばす時により筋力を発揮しやすくなります。
反対に、スクワットなどの地面を蹴るように筋トレを行うとジャンプ・ペダルを漕ぐ時により力を発揮しやすくなります。
ダイエット・ボディメイクでは気にしすぎる必要はありませんが、スポーツでパフォーマンスを上げたい人は、目的によって筋トレ方法を選別する必要があります。
筋トレ毎日はNGの場合

「筋トレは毎日するのは良くないって聞くけど本当なのかな?」
このように気になっている方も多くいらっしゃると思います。
一般的に同じ部位を毎日筋トレすることは避けた方が良いでしょう。
筋トレは筋肉に負荷をかけることで、筋肉を構成する筋繊維に微細な損傷が生じます。損傷された筋繊維が回復することで、損傷する前よりも強い筋肉を作ります。
この回復を「超回復」と言い、通常48~72時間かかると言われています。
そのため、毎日同じ部位の筋トレを行うということは、筋繊維の超回復が十分に行われずに筋繊維の損傷を繰り返すばかりであり、疲労が蓄積するばかりでなく筋肉量そのものが減少してしまう可能性もあります。
そのため、筋トレを毎日行う場合は工夫が必要です。
毎日筋トレや運動を行いたい場合
毎日筋トレの工夫1:鍛える部位を変える
毎日同じ部位の筋トレを行うことで、筋繊維の超回復を妨げてしまうことをお伝えしました。毎日・同じ部位が良くないので筋トレの部位を変えることで、筋トレを既に行った筋肉の超回復を妨げる問題が解消されます。
筋トレの部位を変える方法として筋トレ分割法があります。
筋トレ分割法の例として、筋トレする部位を「胸・腹筋・背中・足」のように4か所に分けることが出来ます。
1日目は胸、2日目は足、3日目は腹筋、4日目は腕、5日目背中というように部位を分ける方法があります。
しかし、筋トレの内容によっては別の筋肉にも負荷がかかってしまうため注意が必要です。
例:胸(大胸筋)を鍛える目的で腕立てを行う
腕立ては姿勢を保つために腹筋を使います。また、上腕三頭筋という腕にある筋肉も使いますので部位を分けたとしても別の筋肉に負荷がかかってしまうため、筋トレの知識に自信が無い人は、連日で近い部位は避けることをお勧めします。
強度の弱い筋トレを行う

筋肉痛が生じない強度の筋トレ(筋繊維をあまり傷つけない軽度の筋トレ)であれば、毎日続けても問題ないと考えられます。
バランスボールにのった状態を維持する運動や右上のようなバードドッグなどはインナーマッスルを主に鍛える筋トレ・運動であり、筋肉の負荷は強くない筋トレです。
インナーマッスルは比較的小さい筋肉で姿勢を維持するための筋肉であり、強い負荷を必要としません。
筋トレを毎日行いたい場合は、バランスボールやバードドックなどのインナーマッスルを鍛える運動はどうでしょうか?
筋トレの効果を効率よく引き出すには食事と睡眠
筋トレは筋肉を強くするためには必要不可欠です。しかし、食事などで栄養が不足してしまっては筋肉を作ることが出来ません。また、筋肉を強くするには超回復の過程が必要ですが、回復を効率よくするには睡眠が大切です。
食事

筋肉などの身体を作るには栄養が必要です。身体を構成する栄養素はタンパク質であり、筋トレにより筋肉を付けるためには、1日に体重1㎏当たり1.5~2.0g必要です。例えば、体重が60㎏の人は90~120gになります。
また、タンパク質は一度に吸収できる量には限りがありますので、1食につき20~30g取ることが理想的です。3食で足りない時は、食後2~3時間空けてから間食でタンパク質を摂取することが望ましいです。
間食で十分なタンパク質を摂取するためにプロテインやプロテインバーなどは甘く、美味しくてお勧めです。
睡眠

睡眠は筋トレの質を高めるためには欠かせない要素の1つです。
睡眠は成長ホルモンが最も分泌されるタイミングであり、成長ホルモンは傷ついた筋肉を修復して成長させるためには欠かせません。
成長ホルモン
脳の下垂体前葉から分泌されるペプチドと呼ばれるタンパク質で、成長促進や代謝調節などの作用を担っています。また、骨細胞の合成やタンパク質合成を促進したり、脂肪を分解して血糖値を維持する働きがあります。
そのため、睡眠時間は7~9時間を確保するようにし、最低でも6時間は寝るようにしましょう。
質の良い睡眠をとるためのポイントとして以下があります。
1.就寝2時間前までに夕食をすませる
2.就寝3~6時間前からカフェインを控える
3.就寝1時間前までにスマフォやPCはみない
4.毎日同じ時間に寝起きする
5.就寝前に軽めのストレッチやヨガなどをする
6.就寝3時間前までには筋トレを終えておく
7.消化の良い食事をとる