「首が痛い!」理学療法士による頸部痛・肩こりに対する運動を紹介!

首の痛み・肩こりは日本人に非常に多い悩みであり、特に男性より女性で悩む人が多い傾向があります。厚生労働省の調査では女性の自覚症状として最も多いのが肩こりという結果が出ています。

首の痛み・肩こりは持続すると頭痛に繋がったりなど日常生活に支障をきたしてしまいます。

ここでは首の痛み・頭痛にお悩みの方に、効果的な筋トレやストレッチなどの運動や原因・対処法などをお伝えしていきます。

医療機関に受診

レントゲンやCT・MRI画像などで骨や骨格の異常・組織損傷などがないことを確認してもらいましょう。

頸椎椎間板ヘルニア・後縦靭帯骨化症などの骨や骨格の異常・組織損傷が生じている状態で、疾患によっては特定の運動は悪化の原因になる可能性があるので、まずはこういった以上がないことを確認する必要があります。

首が痛い・肩こりの人に効果的な運動

医療機関を受診したけど、特定の疾患などはなく、首の痛み・肩こりが生じている人は首を支える筋肉の血行不良などが原因であると考えられます。そのため、首の痛み・肩こりの根本的な改善のためには運動姿勢・日常生活の改善が必要です。

首の痛み・肩こりにはどのような運動が良いのか?

参考文献1

A.R. Gross et al:Exercises for mechanical neck disorders:A Cochrane review update;Manual Therapy 24(2016) 25-45

この研究では、いくつかの首の痛みを改善させる運動をまとめたものであり、肩甲骨~上肢(腕)にかけての筋トレ首の痛みを改善させるという報告をしています。

また、筋トレだけでなくストレッチなども首の痛みを改善させるという報告をしています。

首の痛み・肩こりを解消する運動プログラム1

筋トレ

参考文献2

LARS L ANDERSE et al:NEffect of two Contrasting Types of Physical Exercise on Chronic Neck Muscle Pain;First published: 28 December 2007

疾患や首に整形的な問題が無いが、首に痛みがある人48名を対象に以下の運動を10週間行うと、首の痛みが改善したという報告があります。

しかし、筋トレ直後は首に痛みが生じるとも報告されていますので、運動直後の痛みは気にし過ぎないでいいかもしれません。

1.アームロウ

【僧帽筋・菱形筋の筋トレ】
方法:椅子やベッド・テーブルなどに片手・片足をつけた状態から、空いた手でダンベルや水の入ったペットボトルを持ちます。
   ダンベル・ペットボトルを持った腕を引き上げます。
回数:12回×3セット
   8回×3セット(慣れたら重量を上げる)
頻度:3回/週
期間:10週間

2.腕を広げる運動

【肩周りの筋トレ】
方法:両手に重りになるものを持ち、気を付けの姿勢から両手を横に広げます。
回数:12回×3セット
   8回×3セット(慣れたら重量を上げる)
頻度:3回/週
期間:10週間
注意点:両手を真横に上げると痛い人は、少し前気味で広げると楽になるかもしれません。

3.肩をすくめる運動

【僧帽筋の筋トレ】

方法:両肩をすくめるように力を入れます。
強度ー12回×3
頻度ー週3回
期間ー10週間

4.リバースフライ

【僧帽筋・菱形筋の筋トレ】
方法:セラバンドまたはチューブを両手で持ち、左右に広げます。
回数:12回×3セット
頻度:3回/週
期間:10週間

5.アップライトロウ

【僧帽筋・肩周りの筋トレ】
方法:前側または後ろで棒や水の入ったペットボトルを両手で持って上げ下げを繰り返します。
回数:12回×3セット
   8回×3セット(慣れたら棒に重りを付けるなどで重量を上げる)
頻度:3回/週
期間:10週間

ストレッチ

参考文献3・4

Petri Salo et al:Effects of long-term home-based exercise on health-related quality of life in patients wtth chronic neck pain:Arandomized study with a 1-year follow-up;Disabilty and Rehabilitation,34:23, 1971-1977

Strength training and streching versus streching only in the treatment of patients with chronic neck pain;a randomizend one-year follow-up study;Clinical Rehabititation 2008; 22:592-600

この研究では首周りの高強度の筋トレとストレッチストレッチのみを比較し首の痛みの改善をみた研究です。

首の痛みに注目すると、高強度の筋トレとストレッチを組み合わせた運動ストレッチのみでは両方とも首の痛みは改善しましたが、首の痛みの改善度には違いがなかったとされています。

ストレッチの具体的な方法は記載されていなかったので、首の筋肉に血流を流すストレッチや猫背を改善するストレッチを紹介します。

1.右・左を向いた姿勢
2.首を左右に傾ける
3.上を向く
時間:10秒程(血流改善の目的)
回数:1~3回
頻度:適宜
首を支える筋肉の血流を促す目的のストレッチです。
【大胸筋のストレッチ】
方法:胸を開いた状態を維持します
時間:30秒
回数:3~5回
頻度:週5~7回
大胸筋の柔軟性を改善させて猫背を改善させます。

【僧帽筋のストレッチ】
方法:両肩を下げるイメージで力を入れます。
時間:10秒程
回数:1~3回
頻度:適宜
僧帽筋の血流を改善させます。
【背中を伸ばすストレッチ】
時間:30秒程
回数:1~3回
頻度:適宜

なぜ首が痛い・肩こりになる?

首が痛い・肩こりになる姿勢

猫背は背骨が自然なS字カーブではなく、腰椎が丸まって猫の背中のようにまるまっている状態を指します。その結果、猫背は肩より前方に頭部がある姿勢になってしまいます。肩の上に頭部がある正常な姿勢よりも、肩より前方にある頭部があると僧帽筋などの首の後ろにある筋肉の負担が増えてしまいます。その結果、首の後ろにある筋肉の疲労・緊張につながり、血行不良に繋がることで首の痛み・肩こりに繋がってしまいます。

運動不足

運動不足は筋肉量を減らす要因になります。筋肉量が減ってしまうと、減少した筋肉で頭部を支えないといけないので、頭部を支える筋肉に過剰な負担がかかってしまいます。その結果、筋肉の疲労緊張が生じてしまい、血行不良に繋がることで首の痛み・肩こりが生じてしまいます。

そのため、普段から上半身を使った運動や筋トレなどを定期的に行うことが予防に繋がります。

首はデリケートな部分なので、負荷をかけ過ぎた筋トレは首を痛める原因になる可能性があります。首周りの筋トレは軽負荷で行っても予防効果は期待出来ますので、無理のない範囲で行うことをお勧めします。

生活習慣

長時間のデスクワークスマフォの操作などは猫背を引き起こす悪い習慣です。デスクワーク・スマフォの操作時は多くの人の場合、頭部が肩より前にある姿勢となり、猫背を引き起こす姿勢となっています。長時間デスクワークやスマフォの操作をしている人は、時折背中を伸ばす・胸を張るなど姿勢を直す習慣をつけると良いと思われます。

また、足を組んで座ると骨盤が後ろに倒れ、背中が丸くなり、猫背の原因となります。(下図)

首が痛い・肩こりの時の対処法

鎮痛薬

痛みを感じにくくする方法として、湿布を貼ったり鎮痛剤を飲んだりする方法があります。

しかし、痛みというものは身体の危険信号なので鎮痛剤を飲むということは、その信号が感じにくくなるということです。

腰痛の根本的な治療は運動ですが、痛みによって動けない・動きたくないという人では痛みを緩和してから運動する目的で活用してもよいと思われます

入浴

お風呂に浸かると全身の血行が良くなるため、首を支える筋肉の血行不良改善に有効です。全身が温まると身体は興奮状態となることで全身の循環が良くなることで首を支える筋肉の血行改善に繋がります。普段からシャワーだけの人は、お風呂に浸かってみるのはいかがでしょうか?

マッサージ

マッサージも血行不良の改善になります。マッサージを受けると、筋肉が圧迫されている時は血液の循環が止められますが、圧迫から解放された時に、止まっていた血流が一気に流れることで血行不良であった部分に血流が流れることになります。川から流れる水がダムで溜められて、一気に流れるようなイメージです。

首の痛み・肩こり改善のためにマッサージを受けてみるのかいかがでしょうか?